甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

そして歴史は繰り返される

Mちゃんにほんとかっこいい、イケメン、タイプなどと持て囃され、セックスを繰り返した俺は
ああ、もうこいつは俺の女だ、と過信していた。

そこから漏れる心の綻び。
失われる謙虚さ。

手渡された1000円札を断らずに受け取る、昇りエスカレーターの上に乗る、衣類を脱ぎ散らかす。
一つ一つのことは大したことではないし、気にしない人は気にしないと思うが、彼女は気にするタイプの人間で、それらを確実に積み重ねていった。

「私、他にも2人に言い寄られてるんだよ?」
「セフレでもいいの?」
「休みの日に誘いもしないし」

煮え切らない態度を取る俺。

「モテモテじゃん!」
「セフレはやだ!」
「えー、じゃあ今度映画行こうよ」

最終的には連絡が来なくなった。

以下、最期のライン。

俺:もう俺に愛想尽きちゃったかもしれないけど、、
本当は他の男の人に会ってるの嫌だったし、アプリ続けてるのも嫌だった。

俺:○のこと好きだから、電話したいし会いたい…!
忙しいのにごめん。

相手:電話今日できたらするね

俺:ありがとう、待ってる!

      • -

こんな追い縋るようなLINE、童貞の時ぶりだ。
せっかくできた心の拠り所を失いたくなくて、人生で初めて好きという言葉に嘘をついた。

また勉強になった、どんなに相手が脈ありな態度を示してきても、相手を大切にしなければいけないのだと。

いや、そもそも合わなかった、とは思う。
送ってきた顔写真に対し、LINEスタンプ一個で返したら「可愛いって言ってくれないんだ」って拗ねたり、
こまめな愛情表現を求めてくるあたり、めんどくさいなって思ってた。

それがめんどくさいと思う程度の気持ちだったのは間違いない、間違い無いが、、それでも彼女が今の俺のとっての心の拠り所だったのだけは確かだ。

後遺症治療の帰り道、バス停の消えかかる電灯を見て本当にしみったれた気分になり、1年ぶりぐらいに短歌ができてしまった。

消えかかる電灯 おれの灯火は月の光の如きわびしさ