甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

たくさん短歌できました

不二家ネクターと夜風の公園でやさしいぬめりけがすこし怖い

このままで良いのか自問自答してそれをつまみにビールを飲んだ

カチカチとクリック音が鳴り響く部屋 一日に価値が無かった

就職支援施設ヤングコーナーのヤングの響きに含まれる老い

主役から端役へ抜ける交差点 赤信号が消え去った町

恒星の如くキラめく友たちを天体望遠鏡で眺める

「幸せ」と宗教勧誘するバイト仲間も時給900円か

スピッツを聴きつつ向かうハローワーク フワッと死んだように生きたい

忙しいスーツ姿は広大な歩道でいつもすれすれに来る

まあきっと優秀だろうリーマンをすごい速さで抜くフリーター

強引に押しのけてくるOLの息が臭くて安心をする

働かぬ俺に肩寄せ寝る男 せめて隣で綺麗な夢を

合コンの為に新調した服が古着屋にて今、春物セール

何かやれそうな気がする春の日は心を撫でて去っていくから

枯れ切った桜の花はあなたとの記憶を辿る栞になった

葉桜が微笑んでいる 似合わないスーツの皺をこっそり伸ばす

あまりにも平和すぎるよ君の顔は精神安定剤(常備薬)

昨日買ったTシャツ君に見せたくて体感温度を5度ほど上げる

中1の時に小1なのかよと逡巡 のち優しく抱きしめる

運命じゃなかったけれど陽に当たり透過されたる君の手の赤

しんしんと降りたる雪を綺麗だと思い眺むが最古の記憶

役割を終えた歯ブラシだってほら靴を磨ける 連れていってよ

何度目の最終コーナーなのだろう周回遅れのラストスパート

行きつけの喫茶店 美人店員が辞めた寂しさひとしずく飲む

人殺ししてからヤフー知恵袋で天国への道探す夢