甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

夏の幻

木曜日にふたたび地元で行ったナンパについて語ろうと思う。

お盆も過ぎて、繁華街にすら全く人がいなかった。
ナンパの相方の友人がよく通っているバーを拠点にしていたんだけど、そのバーの店長曰く「客が流れてくるタイミング」があるとのことだったのでそのタイミングを計った。
だけどそのタイミングにすら人が来ない。女が居ても男連れ。でも木曜日だから仕方ないでは済まされない。時間が無いのだ。
繁華街をぐるっと回って戻っては一杯飲み、戻っては一杯飲み、というのを続けていると若い二人組みの女性を発見。
高校生だった。酒を飲んできた後らしく、足元が少しフラついていた。「私たち何歳に見えますか!?」「お兄さん25歳なんですか!?大人きた〜!」とテンション高めだったので、迎えがもうすぐ来るとのことだったけど店まで連れて行った。
店の奥にいる相方の顔を見て露骨に「あ〜…笑」みたいなテンションになって笑った。相方は決してイケメンの部類ではない。

で、お酒を飲ませるなんてことはなく健全にノンアルコールカクテルを注文。
おいしいおいしいと騒いでいる姿がとても可愛かった。「きゃーウチら歳上の人にナンパされちゃったー!」とテンションが上がっていた感じもまた可愛らしい。すぐ帰ってしまったけど、お肌ピチピチのキャピキャピで素晴らしかった。めちゃめちゃチューしたかった…。

次に友人が三人組を連れてきた。三人中二人が可愛いというファインプレー。歳は全員一つ下。

友人×◎◯俺

× 可愛くない
◎かなり可愛い
◯可愛い


こういう席順になった。
友人がなぜか「何もそこまでしなくても」と言いたくなるくらいピエロに徹していたのに、×と◎のテンションの上がらなさが露骨だった。

×が大学時代、サークルで穴兄弟を続出させたサゲマンに似てた。この中で自分が一番可愛くないことを自覚してそうだから、肌を褒めた。正直俺も自分が女だったらこのポジションに立ちたくない。

◎は「ぶっちゃけ私モテるよ」というようなことを言ってて好感を持った。だって美人だもん。

俺は隣の◯とずっと話していた。◯は「◎はほんとモテるよね〜」と言ってたけど、いやいやあんたも可愛いぜと。
ここでは意図的に聞き役に徹した。
基本的には同意、あるいはオウム返しをする。そうやってテンポ良く会話を続けていれば自然と向こうからこっちに質問も来るし、その時に自分のことを話せば良い。けっこう良い流れでに会話を進められた気がする。

後半、友人がふてくされて店の外でずっと電話をしていたので、俺と店長と女の子三人で話すみたいな流れになった。
◎が「秋田帰ってきなよ。私たちともいつでも遊べるよ?」と言ってきたので帰ってきても良いかなとちょっと思ってしまった。
色々聞かれてる中で、「彼女一ヶ月しかいたことない」と言った時に皆が「もったいない!」と叫んでくれたのがすごく嬉しかった。
「もっと沢山遊びなよ!」って。

三人とはしばらくの間飲んだけど、結局名前も職業も明かされることなく帰ってしまった。◯の子だけに狙い撃ちしてLINEを聞いてみたけど、「でも、秋田戻って来ないでしょ?」と言われてしまって何も言えなかった。LINE交換して金曜の夜に二人で飲んでラブホ…がサクセスストーリーだったけど人生そんなに甘くはない。

追いすがって「まぼろしかよ〜!」と叫ぶと三人は笑いながら「まぼろしだよ〜!」と言って、タクシーに乗って行ってしまった。