甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

ほんとうに大切なものは目には見えない

マイナビの社員からまた電話が来た。「SEをやらせたいだけだから気にすんな」という友人の言葉を聞いたうえで話を聞くと、ああ本当に何も俺のことなんて考えてなくてこいつはただ俺にSEを募集してる会社を受けさせて自分の業績を伸ばしたいだけなんだな、というのが改めてひしひしと伝わって来て話している途中で笑ってしまった。やりたくない、というとなんで、なんでと問い詰められる。「なんとなく」と言った。
なんとなくだよバカ野郎。お前は物事全てに理由があると思ってんのか、思ってんならお前は本当の意味で「馬鹿」だよ。
いちいち一つ一つのことに理由なんてつけてられるかよ。

日々人のことが信じられなくなっていく。心の中にデカい不信感の城が築かれていく。
「もっと素直になれよ」と言われた。久々に電話した友人に、最近の不満をベラベラ畳みかけるように話していた最中だった。
俺は自分の気持ちに素直に生きていると思っていたので意味が分からなかった。友人が言いたかったのは「相手の言ってることを素直に受け止めろ」ということだった。そうか、それも「素直」の一種なんだなと感じた。そういう意味じゃ俺は全く素直じゃない。
心の中で「どうせ自分のことしか考えてないんだろ」と思ってしまう。それは俺自身がそうだからだ。自分に素直なのと、相手に素直なのは全く意味が違う。



ブックオフの100円コーナーに何故か新品同然の星の王子さまが並んであって、今読んだらどんな風に感じるんだろう、と思って手に取った。初めて読んだのは小学生の時だ。よく意味が分からなくて、なんとなくさみしいお話だなという感想だった。

喫茶店で一気に読み終えた。「ほんとうに大切なものは目には見えない」王子さまにキツネが教えたこの言葉を見た瞬間に、かつて好きだった女の子から平手打ちされたみたいな衝撃(この表現は多分間違っている)が飛んで来てじわっと涙が出た。隣のおばちゃんの笑い声にかき消されてすぐに蒸発してしちまったけど。

無理して人のことを好きになる必要なんてない。今までやってきたことがバカバカしくなった。きっと夢中で何かをやってるうちに出会う人たちの中に大事な人がいる。そのかわりいいなと思ったら全力だ。
俺はもうこんなんになっちゃったから、今更人に素直になるのは難しい。ならせめて自分にくらい素直になりたい。無理して苦虫を潰したような顔で日々に埋没していきたくない。好きな人に好きって言いたいし、自分がいいなと思うことがしたい。大切なものは目に見えないんだから、自分が感じた気持ちを大事にして生きていきたい。

やべーな、こんなんじゃ就活上手くいかないはずだわ