甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

会社、実質クビになりました

先週の木曜日のこと。

友人と飲みの約束をし意気揚々と新宿へ向かった。
大学の同期、後輩と三人で安い居酒屋へ。
いつもの様に会社の愚痴等を重ね、友人とは別れ後輩と三人で阿佐ヶ谷へ。
阿佐ヶ谷で別の友人を呼び、飲んだ。
後輩とも別れ、明日の心配の無い友人と二人きりで二軒目、三軒目へ。
時刻はもう午前2時。いつもならオナニーし終えてベッドに入る頃。流石に帰ろうと思ったが、
ガールズバー行こうぜ」の甘い囁きが。
普通に考えたら次の日のことも考えて帰るところだったが、呼び込みの女の子が可愛すぎる。
入店。

木曜日ということもあり店内には俺と友人しか居らず、貸切状態。
調子に乗った友人が俺の金で店員に奢るなどして、飲酒を重ねた。
可愛い女の子の実家が俺の実家と徒歩10分圏内という奇跡等があり非常に盛り上がった。
lineを聞き承諾されるも、携帯の充電が切れているアクシデントが発生。
代わって友人がlineを交換し、彼女のlineが確実に俺に行き渡らないであろうことを確信。落胆。

3時頃に退店。

酩酊状態のまま帰宅し、寝たのは3時40分位。

次の瞬間。

携帯のバイブで目を覚ますと「9時42分」
始業時間は9時30分。
携帯のバイブは会社からの電話だった。3回程着信履歴が。とりあえず出るのをためらう。

一旦冷静になるためにシャワーを浴びた。

浴び終え、身体を拭きながら俺の中に二つの選択肢が浮かび上がった。

①通勤途中で携帯を落とし、連絡できなかったがたった今見つかったと連絡し、そのまま会社へ向かう
②先週抜いた親不知の部分が化膿し、激しい痛みの為病院へ行っていた、途中で電池が切れて連絡が出来なかった

ドライヤーを手に取って鏡を見ると、ふやけた赤ら顔が写っていた。どうやら息も酒臭い。
よって②を選択した。

部長に連絡をしたが出ない。震える声で留守電を入れる。俺は嘘をつくのはあまり得意ではない。
しかし正直に寝坊だと話して出社し周囲から白い目の中、明らかな二日酔い状態で働けるほどのメンタリティも持ち合わせていなかった。
その後会社にも連絡をし、休むことに。

昼過ぎまでベッドに横たわりyoutube等を見ていたが、一応もう一度部長に電話をかける。出ない。
その30分後に部長から折り返しが。

「どうして始業前に連絡しなかった?今回の君の行動は社会人として常識に欠けるものだ。月曜日、面談な。」

当然だと思ったがかなり気が重くなった。一方、もうどうなってもいいやという気持ちもあった。

次の日は普通に出社した。先輩に色々言われた気がするがどうでも良いと思っていたので本当に覚えていない。

次の週の月曜日。
いつものクソ程下らない単純作業をしている中、部長が社内へ。
面談室に呼ばれたので少しドキドキしながら入る。

正直ここでもあまり会話内容を覚えていない。
相当叱責されると思いきやかなり柔和な雰囲気だったのは覚えている。

一応解雇は将来に響く形になってしまうので、同意の上での退職にしよう、と同意書を渡された。
「まあ、こうなるよな」という冷めた感情しか湧かなかった。
速やかにサインをし判子を押した。

その後部長から昼食に誘われ、ココイチでカレーを食べ、五反田唯一の心残りだった喫茶店へ。
部長は俺から社内の状況を聞きたかったのだと思う。

俺は言いたいことを話した。相談する、話をする相手がいない社内でひたすら単純作業をするのが苦痛だったこと。
一応6月から外回りということだったが、そもそも営業をやること自体に自分の適性を見いだせなかったこと。
悪口ばかり言う事務の近くに居ることにストレスを感じていたこと。

事務がうるさい、というのはどうやら部長も感づいていたらしい。かなり見くびっていたが、
彼も彼なりに上手く立ち回ろうとしていただろう。

最後に俺に仕事を教えていた先輩のことを話した。
余りにも一人で業務を抱え込み過ぎではないのか、もう少し負担を減らした方がいいのでは、と。
話が右から左のポンコツザル脳の上に、モチベーションゼロ状態の俺に根気強く教えてくれた先輩へのせめてもの償いのつもりだった。

部長は、それは確かに考えているところだと言った。
どうやら前々から事務に仕事を振れ、とは話していたらしい。しかし先輩は一人でやろうとすると。
それは先輩の気が弱いからなのでは、と言うとどうやらそれだけではないらしい。
先輩は仕事を他の人間に取られるのが怖いのではないか、と。

考えてみれば思い当たる節はあった。
「〇〇さん、そういう状態が今後続くようでしたら部長から仕事貰えなくなってしまいますよ」彼はいつもこういう言い方をした。
俺は「気持ち悪い」と、「貰えなくていいわバーカ」としか考えていなかった。

残業代も出ないのに毎日一人だけ22時まで残っていて辞めたくならない理由がわからないし、
どうしてあれだけの業務量を抱えて「多すぎて困っちゃいますよ~」と気味の悪いニヤケ面で俺に言ってくるんだろう、
反応に困る上に心が萎えるから本当に辞めて下さいと思っていたが、単にワーカホリックだけだったのかもしれない。

少なくとも部長が多い時で日に20回位クソくだらない用件で電話することに対しては本当にほとほと困り果てている状態だったが。
それについてはめんどくさいな、と思って言わなかった。

何を言いたいかと言うと、キモくて無能で不倫をしているただのクソ眼鏡おじさんだと思っていた部長も結構社内の人間を見ようとしていたんだな、ということと、その割には何一つ具体的な改善策を提示しないんだなということ。

喫茶店から社内に戻り、また雑務をした。
事務も先輩も俺が辞めることを知らされていたが、特に何も変わらなかった。
退勤の一時間前に先輩を別室に呼んで謝った。

僕が教えたExcelの技術を他のところで活かしてくれれば言うことは何もないですと言っていた。
尊敬はできないけど、本当にいい人だった。

その後総務の人と事務処理手続きについて話すために電話した。
一通り話した後、総務の人が「あのね、気を悪くしないでほしいんだけど、話を聞いてほしいの」と言ってきた。

ざっくり言うと、俺が発達障害の娘と重なって他人事とは思えないという内容だった。
確かに研修中ウィークリーマンションの鍵を無くしたりネクタイを忘れたり、朝に弱かったりと
そう思われるようなことが沢山あった。
元夫も発達障害で、うつ病になって失踪したらしい。多分この話、社内で俺にしかしてないんだろうなと思った。
最後の最後に本当に心配してもらってちょっとハートフルな気分になった。

その後軽くシュレッダーをかけるだけで俺の机は綺麗になり、いつもの様に帰った。
行きつけの飲み屋へ行き酒を煽った。
知らない常連が陣取っていて話す流れにもならなかったのでひたすら一人で飲んだ。
そのままぐらっぐらになった頭んままで外に出て走った。
気持ち良かった。