甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

棚から牡丹餅 その2

その後日程についてのlineが中々返って来ずインターネットとリアルで発狂した。
返信が二日後に来たり等。
社内でトイレに行くたびにlineをチェックした。

そんなこんなで木曜日。
土曜日のことを話したら色んな人に「セックスできた」「やらない方が失礼だ」と言われまくったので、
もういいやセックスしようと思って金曜日の夜を打診したが、次の日から旅行で早く帰るということで木曜日に。

で、木曜日。再び新宿。

仕事帰りというのにSさんのスカートの短さは尋常ではなかった。むしろ土曜日よりエロい恰好。
が、話す雰囲気は全然エロくない。この前とは違うさばさばとした感じ。

とりとめのない会話が続いた。

俺は「Sさんって合コンとか行くんですか?」と聞いた。
「うーん、合コンと名の付くものは行かないけど飲み会はしょっちゅう行くよ。」
「なるほど~」
「〇君合コンする?みんなで飲もうよ」

あれ?
またこの前と同じような展開になった。
「いや~、だから俺はSさんと二人で飲む方が楽しいんですよ」
「そっかー!笑」

ん?
何かが違うこの感じ。
この前は「私は別に二人でもいいよ?」ってエロい感じで言ってきたじゃん。ボディタッチ付で。

あれか?lineで「できるだけ長い時間一緒に居たい」って言ったのが不味かったか?しつこかったのか?
いつもの気持ち悪さ出たか?
そんなことを思いながら会話を続ける。

「いや~Sさんて男手玉に取るの上手そうですよね!笑」
「〇君が勝手に手玉に取られに来てるんじゃないの?」

みぞおちに右ストレート。

「いやいやいや」
「私手玉に取るのむしろ嫌いだけどねー」
「むしろ俺手玉に取りますけどね!全然!」
「ほんと~?手玉に取られたい感じかなりするけどねえ」
「全然全然!俺がSさんを手玉に取りますよ」
「それは無理でしょー笑」
「取ります!」
「可愛い笑」

この前と様子が違う、全部かわされてる感じがする。隣に居たらわかる。

「もう遅いしそろそろ帰るね~」が22時半。

また会おうって聞いたら今月はもう全然空いてないらしい。
ゴールデンウィークも空いてなかったので、五月の二週目に神保町に行くことになった。
それだって結構強引に約束を取り付けた感じだ。

結局向こうは軽く遊びたいだけで、押してしまったことで逆に引いてしまったんだなということが
何となくわかった。
その上で、一発セックスをするチャンスすらも逃してしまった。

やりたくない誇りの持てない仕事のこと、金が全くないこと、脈の無い恋愛、最後の砦の先輩も適当に遊びたいだけ。
もう限界だった。
昨日は仕事を仮病で休んで一日中うずくまっていた。

棚から落ちてきた牡丹餅を驚いて避けて、泥だらけになったそれを見つめ、ひたすら後悔をする。

これからどうすればいいのかわからない。ただ、やっぱり安易に幸せになれる道なんてなくて、
頑張るしかないのはわかってる。