甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

棚から牡丹餅 その1

新宿駅東口18時50分にSさんと待ち合わせ。
人ごみの中で見つけた。
「今日は誘ってくれて嬉しかったです、ありがとうございます!」と第一声。
今日の俺は100%素直スタンスだ。

適当に雑談して店に入る。
割とお好み焼き屋なのになんかお洒落だった。バーニャカウダとか出てきてよくわからなかった。

とりあえずビールを何杯か飲み色々と話した。
大学時代のこととか今の仕事の話とか。
Sさんはコンサルティングをやってて、最近同業他社から引き抜きの話が合ったらしい。
断ったらしいけど、相当仕事ができることは伝わってくる。
他にも昔ダンスグループに所属していたとか、色々。
一番聞きたかったことを聞いた。

「そういえばSさんって今彼氏いるんでしたっけ?」
「うーん、どうだろうねー笑 そういえば~~」

一回目は流されてしまった。

その後俺はフルスロットルで、
昔好きだったMちゃんの話とか、一回だけできた彼女の話、カラオケ店員から連絡先を渡された話とか
そんなことをガンガン話していった。Sさんはずっと笑ってた。

そういえば、とSさんは俺に切り出した。
「友達で○○君に合いそうな子がいるんだよね、今度皆で飲もうよ」

またか。。。と思った
でもここで引き下がるわけにはいかなかった。
俺にはもう、後が無い・・・

「うーん・・・」
Sさんがどうしたんだろう、という顔でこちらをじっと見つめる。
「俺・・・Sさんと飲めたのが嬉しかったんです・・・だから他の人とか要らないです。二人じゃだめですか?」
「そうだったんだ・・・。んーん。私は全然二人でもいいんだよ?」
この時すげえSさん近かった。めちゃくちゃエロかった。
「よかった~・・・」
「可愛いな~」頭を撫でられた。

「可愛いな~」はその後何回もあった。撫でられて、ああ俺はこれが欲しかったんだ・・・と思ってしまった。
上から来られるこの感じ。

その後猫のいる喫茶店へ。
Sさんはラインスタンプとかから見て相当猫好きらしい。喜んでもらえた。
自社の一押しキャラクターが猫なことも教えようかと考えたけど、やめた。

閉店の時間になって、バーに行った。
やり手の友人に教えてもらった、新宿でも有数のバーだ。店内は薄暗くて、良い雰囲気だった。

ここで俺はまあ飲んだ。ガンガン飲んだ。
また本題に切り込んだ。
「あの~・・・Sさんってやっぱり彼氏いるんですよね?」
「そうだねー・・・でも彼氏とは別れる予定。」
「なんで別れるんですか?」
「うーんとね、すごくいい人なんだけどどうしても我慢できないことが一個あって・・・」
「なんですか?」
「体がちょっと弱くてね・・・」

俺は即座に「ちんこが弱い」と思った。

その後も頭を撫でられるなど。そのまま終電が無くなった。

次に行こうか、と外へ出た。
少し歩く。Sさんが腕を摺り寄せてくる。そのまま手を繋いだ。
恋人手繋ぎ。

勃起した。多分ばれてた。すごく、勃起した。

「うわあ・・・こんなこと人生であるんですね・・・うわあ・・・」
恥ずかしくてそんなような言葉を連発した。
Sさんは言葉少なだった気がする。

美人と恋人手つなぎをする深夜の新宿は、いつもの無機質な感じとは違う、きらきらとした表情を見せてくれた。

そして

カラオケに行った。

朝まで過ごして、空気は明らかにダレた。
お金が無くてSさんに払って貰った。

「また会いたいです!今週会えませんか?」
「いいよ。仕事終わった後メガネ見ようね。」

嬉しかった。これきりになるのが嫌だったから。

後篇に続く