甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

徒手空拳

面接通過の電話が来て素直に嬉しいと思った。背筋が伸びた。
受け答えはボロボロ、履歴書は当日に仕上げたために字がミミズ、答えに対する反応も鈍い、受かった要因は企画書を提出したこととしか思えない。作ってよかった。

電話を切った後、そのまま書店へ行き、女性誌などを読んで「アンテナ」を磨き(どうやら餃子ブームを企む連中がいるらしい)、我慢していたぼくは麻理のなか八巻を買い、TSUTAYAでアキカウリスマキの底辺労働者映画を借りようとしてやめ、カッコーの巣の上でを借り、
極めてハキハキすた丼を喰らい、発泡酒ではなくビールを買い、つまみは妥協し、帰宅した
多分今のこの希望エネルギーは持続しない

まだそれがある明日中に、ネカフェ六時間パックを利用して五つほど求人に応募するつもりだ
「もうここしかない」「この人しかいない」の怖さと反動を俺は十分知り尽くした
何もしないで来週の、恐らく最終になる二次面接ではい落ちましたと言われたらもう何もできないだろう
まだ残り玉がある、と思えればなんとかなりそうだ
というかこれは、普通だ
それがずっと継続できていれば、こんな風にならない
もはや二学年下の後輩までもが続々と就活を終えている

力強い生活を


面接を終えて喰いたる果物の種の潰れる感触は濃い

徒手空拳 持たざることを武器にして戦うフリばっかり巧くなる

ケ・セラ・セラ なるようになる日々に居てどうせ明日も今日なんだろう

予防線張っている手にがんじがらめでのたうっている運命線