虫武一俊の歌集「羽虫群」が良かった
店頭で一度手に取ってパラパラ読んだ時「俺がこれを買うのはあまりにも俺すぎる」と考えて一度戻した本だ
吠えない負け犬と吠える負け犬なら俺は吠える方を選びたい
そうやって乗り越えていくこともあるはず
海でしょう、海でしょうって渡れないことを何度も確かめている 虫武一俊
生きかたが洟かむように恥ずかしく花の影にも背を向けている 虫武一俊
生きていくことをあなたに見せる時ちょうど花びらでも降ればいい 虫武一俊
「生きろ」より「死ぬな」のほうがおれらしくすこし厚着をして冬へ行く 虫武一俊
じきにくるじきにくるってバス停で座り続けてすでに透明
薄汚い涙を墨にして白い紙にでっかく書けよせいぜい
負けたくは無いから聴いたエレファントカシマシいつかは勝ちに行きたい
勝ち取った命さだから生まれたら死ぬまで勝ちを探すんだろう
生き残ることと生き抜くことの異を投げ捨て荒野で探すオアシス