甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

最近気に入った短歌

教室の窓に映った透明の君を電線つきぬけてゆく 佐伯春香

君という葡萄畑の夕暮れにたった一人の農夫でいたい 岡野大嗣

きっときみがぼくのまぶたであったのだ 海岸線に降り出す小雨 正岡豊

つきなみな恋に旗振るぼくがいる真昼の塔がきみであります 正岡豊

廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て 東直子


最近じゃやりたいことがセックスと短歌しかなくって、セックスは一人じゃできないからずっと短歌を作ったり読んだりしている
佐伯さんのこの短歌は青春の一瞬のキラめきを捉えていて、感動した
透明な、に儚さ つきぬけてゆく、に力強さを感じる 本当にその時そう感じたんだなという真実性がある

岡野さんはsyrup16gが好きだったり将棋が趣味(俺は囲碁)だったりとなかなか共通項の多い歌人さんだ
あえて葡萄にしたのが面白くて、これは「すっぱい葡萄」からとったのかなあと思った 

正岡さんの一首目、まぶたを海岸線に喩えたのが素敵だ 
二首目、真昼の塔をきみに喩えてて、葡萄畑の夕暮れだったり真昼の塔だったり、いろんな君がいるんだなあと
恋は人をポエマーにさせますなあ

東さんのこの短歌はちょっと一瞬ぎょっとする 事実の羅列からの一拍空けて「来て」に切迫感があっていい
初歩的な部分だけど「廃村を告げる活字」にポジティブな要素が盛り込まれたりすると一発で駄作になるから(おおよそ)31文字は怖い


俺は上手いのを作ろうとすると「上手く作ろうとしてる感」が出てダサくなるから、
とりあえずちょっとクスッと笑えるようなのを尽きるまで大量生産していきたい
とある歌人さんのブログに俺の短歌が載ったし、歌会の月例誌でも名のある人に選ばれたからモチベーションは高い
短歌はいつでもどこでも根気が無くても(最重要)作れるのが俺の性に合ってる
すぐにほどけて散らばってしまう一瞬の想いを形に残せるのが楽しい