甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

小4の時、恋のおまじないが母親にバレたときの話

当時小4だった俺は密かに恋心を抱いていた女の子がいた。
名前はあすかちゃん(仮名)
肌が白くて顔が小さくて足が長くてすらっとしてて、自分より背も高い。
当時大人っぽい女の子が好きだった俺には眩しい存在だった。
プールの授業中、水中に潜って彼女のピンク色の水着を目を細めて見ていたことを思い出す。
全然勃起とかしなかった。もう取り戻せない淡い恋の色、、

友人のケンジ君(本名)に、俺は絶対にあすかと目を合わせられるぞ、と宣言し、数分間ガン見して無理やり目を合わさせて、「ほら!ほら見たかよ今の!ほら!」みたいなこともやっていた。
この頃からヤラハタの布石を打っていたんだなあと溜息が出る。

ちなみにあすかちゃんと話したことで覚えているのは「サラリーマンみたいな髪型だよね」だけだ。かなりショックだった。



俺はおまじないにハマっていた。今ではもう無くなってしまった、おまじないを集めるサイトをしょっちゅう見ていた。
その中でも特に恋のおまじないに夢中だった。
消しゴムの裏に好きな女の子の名前を書いて何日か誰にも見られなければ両想い、とかなんか色々やっていた。
恋のおまじないの一つに、好きな女の子と一緒に写った写真の、自分の顔と女の子の顔に赤いペンでハートマークを書いてそれを線でつなぎ、写真を枕の下に置いて寝ると女の子が夢に出てくる、というおまじないがあった。
誰も触れない二人だけの国まで飛んで行って驚いた君の瞳が見たかった俺は、すかさずクラスの集合写真を取り出し、決行した。
赤いペンを握ったあの時のドキドキは今でも覚えている。
枕の下に置いて、あの子が夢に出てきますようにと願いながら眠る日が何日か続いた。

ある日の朝。朝食を済ませた俺に、母親が尋ねた。「これ、何?」
手には例の写真が。
「あええええええええええ!」
のたうちまわった。逃げるように学校へ向かった。
帰ってから聞いた話だが、あすかちゃんの母親と俺の母親は高校生の時の同級生で昔からの友人だった。それを笑いながら話してくれた。

母親は俺に見事に遺伝させた口の軽さがあるので、ハートマークの写真のことが絶対にあすかちゃんの耳にまで伝わると思った俺は、それからまともに彼女の顔を見れなくなったのだった、、、