甘い生活

ビューティフル・ヒューマン・ライフ

美人の街、秋田で青春出来ないとこうなる。

今日は友人と可愛い女の子を少々ストーキングして、あのガニ股歩きはバスケ部出身だ、などという考察を聞きながら秋田駅前のスタバに入った。
秋田には数少ないオシャレスポットであるスタバは、可愛い女の子が集まってくるからだ。

秋田は可愛い女の子が多い。それゆえ、苦しくなる。俺は、この地で青春を謳歌したかった。

秋田は日照率が全国一低い。
冬なんて毎日曇りだ。自殺率が高いのも頷ける。
これによって俺の暗さ、陰湿さの基礎みたいなものが生まれた。

秋田は何もない。
おかげで青春時代に「早くここから抜け出したい」「つまらない」「いきぐるしい」「秋田じゃなければ、、」というウジウジした気持ちで過ごす羽目になっな。

秋田は狭い。
中高時代駅前に出るとほぼ知り合いに遭遇した。ヒエラルキーがどちらかと言えば低い方だったので、気まずい思いをすることが少なくなかった。
特に学ランを着ていると、信号待ちの時などは向こう側で誰かから視線を感じるような気がするので、どこに視線を置けば良いかわからなくて信号待ちの度に心臓がバクバクしていた。
おかげで人の視線を極端に気にするようになってしまった。

秋田は可愛い子が多い。
そのせいで俺の女性に対するハードルが上がってしまった。なのに何故か高校は、「顔面偏差値40」と評されるように奇跡的な程ブスしかいなかったので、駅前に出ると可愛い子がいるのに通う高校にはいない、という激しいジレンマに苛まれることになった。
自分の高校に見切りを付けて、可愛い子が多いと評判の女子高と高2のクリスマスに合コンすることになるのだけど、それはまた別の話。

スタバで充実した時間を過ごした後、
また違う友人達と合流し花火大会へ向かった。
本来なら中高生や、小さい子どもがいる家族が行く位の対象年齢の低い花火大会で、わざわざ帰省してまで行く程のものではない。
でも、今日は青春の忘れ物を取りに行くつもりで野郎4人で向かった。俺が誘った。

牛もつ煮込みとお好み焼きを買い、スーパーで買い込んだエビスビールで乾杯する。

花火はすぐに飽きた。ビール2缶を空け、酔ってくると目につくのは、やはり中高生のカップル。すごく、すごく苦しくなってしまった。

祭りが終わりに近づき本番の時間がやってきた。そう、今日来たのは帰りの女の子をナンパするためだ。

あの地べたに座っているメス共は?
ダメだ。知性が全く感じられない。知性の無い女は思いやりも無いので、こちらに暴力的な言葉を投げつけてくる危険性がある。
こんな所で傷付きたくはない。却下だ。

あの可愛い女の子達は?
ダメだ。可愛いけど彼女達は幼すぎる。抱き締めたい。苦しい。

あの2人とも70点位の顔面の女の子達は?
知性がそれなりにありそうだし、足も細い。
美人過ぎもしないのでギリギリ気後れもしない。仕掛けるならここだ。

他の3人には無い瞬間的なエナジーの爆発で仕掛ける俺。

俺「こんばんは、今帰りですか?もし良かったらこれから飲みに行きませんか?」

女の子「えっ、あ、ウチらか。笑 ごめんなさい。大丈夫です笑」

俺の爆発したエナジーは一瞬にして収縮した。

今冷静になって考えると、高校生位がメインターゲットなのに「飲みに行きませんか」は無かった。
というか今考えるとわけがわからなすぎる。苦しい。完全にただの酔った勢い。
俺の突発的な行動力が身を結んだ経験は一度も無い。

俺が本当にしたかったのは、こんなことじゃない。こんなことじゃない。こんなことじゃ、ない。こんなことじゃ、ない。こんなことじゃ、ない。こんなことじゃ、ない。こんなことじゃ、ない。

頑張って誘った花火大会。手をつなごうとするけど恥ずかしくてひっこめたりして。微妙な距離感を保って。川べりに座って二人で柔らかくてべちょべちょのたこ焼きを美味しいねって一緒に食べて。大したことない花火に感動して。勇気出して告白して。帰り道は一緒に手を繋いで帰って。

ハタチ超えて、青春拗らせて高校生くらいの女の子にトチ狂って飲みに行きませんか?
もう嫌だよ。俺。もう嫌だよ。誰かここから連れ出してくれよ。誰か、諦められない俺に青春をくれよ。ここじゃないどこか、どこにあるのかわからないよ。いまはただくるしくてさみしくてせつないよ。

やっぱり秋田は、嫌いだ。

今日の短歌
いつだって稲穂は実らず飽きていて夢を見ていた秋の田園